ラストサマー・バケーション<東洋 トタン>

<あらすじ>

クラスのあの子の「誰にも見られたくない姿」を見てしまった――

クラスのあの子の「誰にも見られたくない姿」を見てしまった――
明るくてかわいくて、クラスの人気者の美月。病気の母を献身的に介護する彼女はどこから見ても完璧な「良い子」だった。そんな彼女の、決して見てはいけない姿を見てしまった海野は……? 現実から逃げた果てに辿り着くのは――?切ない少女たちのロード・ムービー。

 

<評価>★★★★☆

クラスの人気者の優等生美月に密かに憧れる海野。海野は友達もおらずプールの授業中こっそり飲酒するようないわゆる隠キャですが、美月はそんな彼女にも隔てなく明るく接してくれます。しかし、ある日海野は美月が男性を殺すところを偶然見てしまい、彼女が闇を抱えていたことを知ります。実は美月は母子家庭で、病気の母親を必死に介護していましたが、ある日母親から介護士の男性浦和に暴行されたことを告白され、浦和を殺して欲しいと母親に頼まれたのでした。母親は病気でもうすぐ死ぬので、少しだけ黙って欲しいという美月に、自分も親と折り合いが悪い海野は美月と一緒に逃亡することを決意します。しかし、その後謎の男性が追ってきて…というストーリーです。

出典:ラストサマー・バケーション 1巻

ヤングケアラーの問題は最近注目されていますが、大人から見ると、もう少し良い選択が出来たのではないか、短絡的に解決法を求めすぎなのではないかと思うことも、学生時代というか、子供の時は必死で考え、それがその時は最善だったんだ、ということは皆さん経験があるのではないでしょうか。実は母親が暴行された事件には真相があるのですが、そちらを知って美月が自殺するのを止めようとする海野。最後も非常に爽やかな終わり方なので、お勧めです。上下巻で短く完結しているので、非常に読みやすいと思います。「夏休みが終わる頃 私はきっと檻の中だ」という台詞はかなり印象的ですね。実写化とかも結構あっている気もします。