LES MISERABLES<新井隆広, 豊島与志雄, ヴィクトル・ユーゴー>

<あらすじ>

世界中で児童書、舞台、音楽、映像となり、様々な形で愛されてきた人間賛歌。だが、文豪ヴィクトル・ユーゴーが執筆した「原書」はあまりの難解さに読破が難しいと言われ続けてきた。その「原書」の物語に、俊英・新井隆広が挑む!!誇り高き人々が命を懸けて果たした“使命”。圧倒的スケールの物語が、超絶筆致で「完全」に蘇る!!

 

<評価>★★★★★

あまりにも有名過ぎて語ることもないですが、コミカライズとして非常に秀逸なのでご紹介。ミュージカルや映画など、数多くの媒体で作成されている世界的名作ですが、描写も見事で、非常に長い原作をうまくまとめており、名前だけ知っているが、内容をあまり知らない人にもお勧めできます。

たった一個のパンを盗んだために、19年間監獄に捕まっていたジャン・ヴァルジャン、釈放後にも偏見の目に晒され、自暴自棄になり、親切心から泊めてくれた司祭ミリエルの家から銀の燭台を盗んで逃げだします。後ほど憲兵に捕らえられ、司祭に引き合わされますが、司祭は燭台は彼にあげたものだと話したことで、司教の慈悲に打たれ、改心することを誓います。

出典:LES MISERABLES 1巻

その後ヴァルジャンはマドレーヌと名前を変え、市長として成功することになりますが、彼の工場で働くファンティーヌは、一人娘コゼットを遠く離れたテナルディエという夫妻に預け、懸命に働いていましたが、父がいない娘を育てているという悪評から、解雇されることになります。娘に仕送りをするために、髪も、歯も売り、最後には体を売ることになり病気になってしまいますが、ヴァルジャンはその解雇を知らず、彼女の悲惨な状況を知ったヴァルジャンは病床に苦しむファンティーヌにコゼットを会わせるために、テナルディエのところにコゼットを迎えに行こうとしますが、ジャン・ヴァルジャンという名前の元徒刑囚が別の町で捕まったことを知り、自分の代わりに冤罪として捕まった男がいることを悟ります。知らないふりをしてコゼットを迎えに行くか、それとも無実の人を助けるために、自分の正体をばらすかを迫られることになりますが・・・。

有名過ぎてあらすじを書くのもためらわれますが、この後も物語としては十数年にわたり非常に長く続きます。

非常に印象的なシーンとしてはエポニーヌが死ぬところですね・・・。

テナルディエの娘であるエポニーヌは、もともと貰われっ子であるコゼットのことを幼少時にいじめていましたが、その後コゼットはヴァルジャンに引き取られることになり、裕福な家で美しく成長することになります。一方でテナルディエはファンティーヌから騙し取ったお金も無くなり、犯罪に手を染めるようになりエポニーヌは貧困の中で父の犯罪まがいの行いを手伝うようになります。

出典:LES MISERABLES 4巻

成長してから二人の境遇は全くかけ離れることになりますが、コゼットに恋する青年マリユスと偶然知り合ったエポニーヌは、自分も彼に淡い恋心を頂いていましたが、彼のためにコゼットの家を探してあげることにします。

その後マリユスは六月暴動に参加することになりますが、そこで政府軍からのマリユスへの銃弾を身を挺して庇ったエポニーヌは命を落とすことになります。このシーンは描写も非常に美しく印象に残ったシーンです。

出典:LES MISERABLES 7巻

ただ、一番好きなキャラクターはジャビル警部ですね。

アメリカにいたときにミュージカルでも見ましたが、on my ownは本当に名曲です。

映画『レ・ミゼラブル』 "オン・マイ・オウン(On my own)" (youtube.com)

フランス文学は巌窟王や三銃士など、名作が多いですが、レ・ミゼラブルは一番好きな作品です。