累<松浦 だるま>

<あらすじ>

イブニング新人賞出身の新しき才能が放つ『美醜』をテーマにした衝撃作!! 容貌の醜さから人に忌み嫌われてきた累。そんな彼女に、女優であった美しき母親が遺した1本の口紅。その口紅は他者の顔を奪うことが出来るという謎の力を持っていた。累はその力を使い、美しき者が享受するすべてを奪う事を決意する。

二目と見れぬ醜悪な容貌を持つ少女・累。その醜さ故、過酷な道を歩む累に、母が残した一本の口紅。その口紅の力が、虐げられて生きてきた、累の全てを変えていく――。

 

<評価>★★★★★

演技の才能を持つものの、生まれたときから身の毛のよだつような醜さで生まれてきた累<かさね>。母から託された口紅の能力で、美女の顔を自分のものとし演劇の世界で才能を発揮していきます。結構残酷描写も多く、そもそも累が受けてきたいじめがかなりひどいレベルで、特に女性にとって美醜で評価されてしまうことの厳しさを痛感します。

累は自分の顔のままでは外に出ることも憚られるくらいですが、演劇の世界で羽ばたくために、顔の良い女優をターゲットとして、その顔を奪い、舞台に立つことになります。

例えば美しい容姿を持っていますが、眠り病という特殊な持病を持ち、長時間舞台に立てない丹沢ニナは、累と交渉しその特殊な口紅の能力を知ったうえで、自分の顔を貸す代わりに、累に丹沢ニナとして舞台に立つ機会を提供しますが、徐々に「丹沢ニナ」として成功する累を見て、自分の存在が消えていくような錯覚に陥り、ついに累とニナの同盟関係は破綻することになりますが、その終末が非常に美しく、また衝撃的です。

出典:累 11巻

ニナを失った累は次なるターゲットを探すことになりますが、更に累の出生に関わる人物と出会い、母の謎にも迫っていくことになります。

全14巻で完結済みで、納得のいく終わり方ではありますが、強いて挙げるとすれば累の結末があまりにも不幸で報われないのが後味が悪い点でしょうか。累は色々と悪事と呼ばれることもしましたが、大本はただ「醜く」生まれただけであり、この悲惨な結末に至るまでの罪を犯したと言えるのかはちょっと腑に落ちませんでした・・・。

土屋太鳳さんと芳根京子さんの二人主演で映画化もされている名作です。

累

  • 土屋太鳳
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