兎は薄氷に駆ける <貴志 祐介>
<あらすじ>
ある嵐の晩、資産家の男性が自宅で命を落とす。
死因は愛車のエンジンの不完全燃焼による一酸化炭素中毒。
容疑者として浮かんだ被害者の甥、日高英之の自白で事件は解決に向かうと思われたが、それは15年前の殺人事件に端を発する壮大な復讐劇の始まりだった――。
警察・検察、15 年前の事件の弁護も担当した本郷、
事件調査を請け負う垂水、恋人の千春……。
それぞれの思惑が交錯し、誰が味方で誰が敵なのか分からなくなる中、事件は意外な方向に二転三転していく――。
父の冤罪をすすぐため、青年は身命を賭して復讐を誓った。
<評価>★★★★☆
貴志祐介先生は天才だと思っていますが、最近の著作があまり合わないものがやや多かったです。
「さかさ星」はホラーとして面白かったですが、主人公がyoutuberだったり、もはやドジっ子シスターとしか思えない某ドイツ系黒幕があるものに噛まれて”Scheiße!!”と叫ぶところなど、ちょっとギャグっぽく感じました笑。

Scheißeと聞くとこれしか思い浮かびません。英語のShitですね💦
ただ、本作は非常に楽しく読むことが出来ました。
伯父への殺人未遂容疑で逮捕された日高英之ですが、彼の父は警察の証拠ねつ造によって有罪判決を受けたという暗い過去があります。冤罪疑惑を晴らすために主人公謙介は彼の弁護士本郷から助力を頼まれますが、真実はどこにあるのか。
日高への警察の尋問は非常にリアリティがあり、実際の冤罪事件などもこのように無理やり調書を取られサインを要求されたりするのではと思わせるようなものでした。英之の恋人である千春も無実を信じ、謙介と一緒に行動するようになりますが、最後の結末は驚くべきものでした。
結末が後味悪いものですが、ある種痛快なのは、警察が引きおこす証拠捏造、冤罪事件に対するある種のカウンターパンチとなっているからでしょうか。最大のトリックはなかなか無理があるような気もしましたが、この構成と意外性は流石の貴志先生と感じました。
しかし今一番読みたいのは新世界ゼロ年ですね・・・。いつ単行本になるのでしょうか。
ガス灯野良犬探偵団 <青崎有吾, 松原利光>
<あらすじ>
19世紀末ロンドン。路地裏で浮浪児として暮らす少年・リューイは、とある殺人事件をきっかけにひとりの探偵と出会う。探偵の名は、シャーロック・ホームズ。リューイは下層階級を顧みないホームズを憎みながらも、犯罪と陰謀が渦巻く魔都ロンドンの浮浪児たちを救うため、彼のもとで“猟犬”として働くことを決意する。少年たちの地下街(アンダーグラウンド)ミステリー叙事詩、開幕!
<評価>★★★★☆
いわゆるホームス・パスティーシュ(ホームズ物を更に広げたパロディ作品)は好きなのですが、この漫画はやや意表を突かれました。最初はロンドンの浮浪児の話かと思ったら、ホームズが出てきて、そういうことかとやっとわかったのですが、解釈がそもそも斬新です。ホームズは見た目は有色人種でインド系の青年として描かれ、また性格は紳士とは遠い傲慢、エゴイスト、またもちろん推理物としての骨子は共通していますが、浮浪児たちの戦いの描写と、敵対者の戦闘能力は、バトル物としてもかなり面白い作風となっています(やはり作画の松原先生の名作リクドウを思い起こします)。
ホームズの宿敵としてはやはりあの教授ですが、教授の一味のものがまた濃い面子ばかり。特に建築学:セバスチャン・モランに関しては原作を知っていればにやりと来るのではないでしょうか。
原作の青崎先生は地雷グリコやアンデッドガール・マーダーファルスなどで有名な小説家の先生で、それらが好きな人にも波長は合うのではないでしょうか。

ふたつのスピカ <柳沼行>
<あらすじ>西暦2010年、日本初の有人宇宙探査ロケット「獅子号」は市街地に墜落して多くの死傷者をだす惨事となった。事故で母親を失った少女「アスミ」は事故機のパイロットの幽霊「ライオンさん」と出会い、宇宙飛行士を目指すようになった。
<評価>★★★★☆
昔から宇宙物が好きで、スペースシャトルやアポロ計画のドキュメンタリーなどもよく見ており、映画でもアポロ13など非常に好きでした。漫画でも宇宙関係のものが好きなのですが、ふたつのスピカはかなりお気に入りです。
母親をロケット事故で失ったアスミが、宇宙学校で宇宙を目指す話ですが、アスミと切磋琢磨する友人4人(アスミの幼なじみで、少し意地悪な府中谷、おせっかい焼きですが写真に情熱を燃やすケイ、人と関わろうとしない謎めいた美少女の宇喜多、眉をそり落とし一見ヤンキー風ですが、主席の成績を持ち、チームのことを思いやる秋)がいずれも非常に魅力的で、5人の関係性の変化も非常に面白いです。
宇宙学校での非常に厳しい訓練の中で、5名は時に衝突することもありますが、全員の望みは宇宙に行くことひとつだけ。
途中で秋があんなことになるとは全く予想できませんでした・・・。
「一番の親友でしょ!」のシーンは本当に泣けました。
最終的に宇宙学校から宇宙に行ける機会をもらえるのはたった一人のみですが、最終回も非常に綺麗で、読みごたえがありますのでお勧めです。
アニメ化されているのは知っていましたが、いつの間にかドラマ化もされていたようですね。
アニメの主題歌「Venus Say…」は歌詞も内容にあっており、超名曲だと思っています。
タッチ <ダニエル・キイス>
<あらすじ>
バーニーとカレンは、不妊に悩んでいることを除けば、どこにでもいるごく平凡な若夫婦だった。その災厄に見舞われるまでは――。バーニーの勤め先で放射能事故が起き、二人は知らぬうちに被曝してしまったのだ! 放射線障害の苦痛、周囲からの差別と孤立が夫婦を襲う。そしてお互いへの愛さえ見失う状況のなか望んでいたはずの妊娠が判明し……。絶望の隘路に彷徨う二人は再生の光を見出せるのか。
<評価>★★★★☆
「アルジャーノンに花束を」で有名なダニエル・キイスの別作。あまりにも内容が暗くて、悲惨すぎるので、かなり人を選ぶ内容だと思います。
実際にAmazonの評価などを見ると結構低いのですが、個人的にはかなり楽しめました。
若い夫婦であるバーニーとカレンは不妊に悩んでおりましたが、ある日バーニーの勤め先で放射能漏れの事故が起こり、バーニーは最初は問題ないと判断されていましたが、徐々に放射線障害による症状が出始め、さらに妻であるカレンもバーニーを介して放射性物質に汚染されていることがわかります。
親切だった町の人たちが夫妻が放射線を浴びたことを知ると手のひらを返したように不親切になり、町から追い出すことさえ試みるようになります。夫妻は精神的に病んでしまい、非常に苦しい思いをすることになるのですがこのあたりの描写が非常にエグいです。
そんな折に、待望のカレンの妊娠がわかるのですが、二人は放射能汚染が胎児にも影響することを恐れ、ますます精神を病んでいくようになります。陣痛が来て産科を受診しようとしても、かかりつけの病院の受付からは理由を告げられず受診を断られてしまい(ほかの患者が迷惑がっているのは明白ですが)、バーニーは怒り狂いついに銃をもって妻を病院に無理やり連れていきます。そして最後に胎児が生まれるのですが・・・。
一昔前の放射線障害への偏見がかなり色濃く描かれており、その中での夫婦の葛藤と、徐々に病んでいく描写が非常に秀逸です。
デザイナー兼彫刻家であるバーニーは自宅にアトリエがあるのですが、精神を病み奇形のような胎児を粘土で沢山作り、それを見たカレンが慄く描写はかなりつらいものがあります。
人を選ぶかもしれませんが、一読の価値はあるかと思います。
国立国会図書館が便利すぎる話
東京の都心に住むメリットは何かと聞かれると、明確な答えが出づらい気がします。
家賃も含めて物価も高いし、お店が沢山あって便利等の意見もありますが、amazonといいネット通販が発達した今では、どこにいても大体同じ品物が多少の時間差はあれど配達されます。
正直そこまで都心に住む積極的な理由は自分もありませんが、個人的には国立国会図書館を利用できるのは非常に大きいです。
国会図書館は名前は仰々しいですが別に国政に関わる本以外に、「納本制度に基づいて、日本国内で出版されたすべての出版物を収集・保存する日本唯一の法定納本図書館である」ので、日本で発行された本や資料はほぼ網羅されて保管されているという唯一無二の図書館です。
全ての本ということで、漫画や、果ては18禁同人誌等さえも納本されていれば閲覧することが出来ます笑。
下記はてなブログの記事のタフの名台詞「鬼龍が廊下を練り歩ている」を入手するは非常に笑わせていただきました笑。
自分もめぞん一刻の最終話が非常に綺麗で好きだったので、国会図書館で最終話が載っているビッグコミックスピリッツを閲覧したことがあります(どれくらい大きく取り上げられているかと思ったら、確か巻頭カラーとかでもなく、わりとあっさりしていてちょっぴり残念でしたが、実際に紙面で見ると感動ひとしおでした)
中古でも買うと約1万円位しますね・・・。
普通の図書館とは違い、すべて館内閲覧で、館外貸し出しはやっていませんが、医学書などもたくさんあり、勉強にも非常に良い環境です(なんか漫画を読みまくっている人もいっぱいいますけど笑)。
18歳以上の成人であればだれでも無料で使用できますので、もし使ったことがない方は一度行ってみては如何でしょうか。
笑うマトリョーシカ <早見 和真>
<あらすじ>
若き総理候補が、誰かの操り人形だったら? 人間の心の闇に迫るミステリー。
47歳で若き官房長官となり、総理への階段を駆け上がる男は、周囲を魅了する輝きを放っていた。
「彼が誰かの操り人形だったら?」
そう感じた女性記者が、背景を探ると、関係者の不審死、同級生の秘書や家族らの怪しい関係性が浮上し――。代議士を操ろうとする人物は誰なのか?
<評価>★★★☆☆
官房長官として次期首相も噂される少壮政治家清家一郎ですが、その背後に彼をコントロールし、すべてを自分の思い通りにしようとする人間がいることを疑った新聞記者の道上は、独自に清家の過去を探り出します。一番疑わしい人間は清家の高校時代からの親友であり、現在彼の秘書を務めている鈴木です。鈴木は初めて会った時から清家を下に見ていましたが、指示したことを忠実になぞることが出来る清家の不思議な魅力に興味を抱き、彼を政治家にすることに全力を尽くすことにします。また、清家の母親である浩子も、清家を自分のコントロール下に置き、父と同じように政治家にすることを画策します。
清家の周りにはこのように彼を操ろうとしている人間がいますが、本当に彼を操っているのは誰なのか、最後にその謎が明かされます。
構成としては清家の学生時代までさかのぼり、その来歴が徐々に明らかになっていき、非常にスリリングに読めますが、最後が微妙に落ちが弱い気がします。
まあ正直操られていたと思っていた人間が実は操っていたというオチは古典的なものですし、そこまでの意外性は感じませんでした。いっそ光一の方が操っていたというようなオチの方が面白かったかも・・・。
ドラマ化もされた名作ですので、一読の価値はあると思います。
Let's note 新調
ご存じの方も多いと思いますが、2025年10月でWindows 10のサポートは終了します。
未だに昔使っていたLet's note CF-RZ5(10年前に購入)は現役ですが、さすがにそろそろ新しいPCを買おうかなと思いました。
家ではノートPC以外にもタワー型デスクトップPCがありますが、これも約10年前買ったもので、そろそろ挙動が怪しくなっているところで、こちらもどうせ今年windows10のサポートは終わります。
選択肢として、
①タワーとノートPCそれぞれを新調する
②ノートPCのみ新調して、これをモニタにつないで家でもタワーの代わりにして、一台二役にする
③Let's note RZ5にwindows11をインストールする
などを考えました。
①ではコストがかなりかさみますし、現在タワー型PCでやることはネットサーフィン、たまに少しDTMで、またタワーの場所も結構取り、ただでさえ狭い机がもっと狭くなるのが難点でした。また、③も悪くないのですが、そもそもRZ5はWindows11のスペック要件を満たしていませんので、インストールにコツがいりますし、
https://www.ns-lab.org/digiloog/2024/11/article_7815/
入れたとしても今後継続的なWin11のupdateには追随できないと思ったので、②を選択することにしました。
ノートPCをどれにするか色々と考えましたが、Let's noteは頑丈さとまたコンパクトな2 in 1モデルがあるのですが、いかんせん高いです。あとはDynabook V8もお店で触ってみて非常に軽く魅力的に思われたので、この二つで悩むことに。
決め手は、「バッテリー交換が自分でできるか」という点でした。
ノートPCのバッテリーはすぐへたりますが、Let's noteは唯一自分で簡単にバッテリーを交換できる優れもので、予備バッテリーを持ち歩けば更に駆動時間は長くなります。
ということで、結局Let's note QR4を購入。コストが非常に高いのが難点ですが、QR4 RDAASの新品を約20万で売っているのをみかけ、こちらを購入しました(上のamazon linkに貼っているのは上位モデルのQR4 FDNCRなので要注意)。
RZ5よりは少し重く大きくなりましたが、それでも1kgという軽さです。デスクトップPCとタブレットも兼用できるこちらはかなりお買い得だと思いました。
しかしWin11は色々と使いにくくなっているところもあり、強制的に開会を迫られることに理不尽さも感じます。10月あたりはPCも高騰する恐れも言われていますが、とりあえずQR4を買えて満足です。








