あいだにはたち<さおとめ やぎ>

<あらすじ>

高校3年生の夏。大学受験を控えた男子高校生・高江玲於奈(たかえれおな)は38歳の超美人・ミサさんと偶然に出会う。一目惚れした玲於奈は、彼女との年齢差を埋めたい一心で、25歳の大学院生である兄の名前を騙ってしまう。彼女もまた秘密を抱えているとも知らずに……。歳の差20歳、嘘から始まるラブサスペンス、開幕!

 

<評価>★★★★★

18歳の高校生玲於奈と、38歳の美女ミサとの恋愛物語、という単純な図式ではありません。一見ただのお色気コメディに見えますが、この作品は高齢出産、精子提供、シングルマザーといった社会問題も匂わせる非常に奥深い作品です。

玲於奈は偶然ミサと出会い、セックスフレンドにならないかを唐突に誘われます。ミサを38歳と知り、自分より20歳も上であることに驚く玲於奈ですが、ミサがスタイルも性格も頭もよい女性であり、関係を持つことを同意します。

ただ、玲於奈は高校生であるため、自分の正体は隠し一流大学の学生である自分の兄一作のふりをして付き合うことにします。

しかし、ミサは単純に玲於奈のことが好きになったわけではなく、実は自分の子供が欲しいため、一流大学に通っているという玲於奈(実際には兄一作の経歴を詐称しているのですが)にセックスフレンドになることを持ち掛けたのでした。興味があるのは恋愛ではなく、ただ精子のみというミサ・・・。

この作品の良さは、最初は美魔女のミサに振り回されるだけだった玲於奈が、最後には大きく成長し、ミサのすべて(実はミサという名前も、経歴もすべて偽りのものです)を最終的に受け入れる成長だと思います。また、ミサも若いときから不幸な恋愛ばかりしており、最終的に男はいらず子供さえいればよいという考えに落ち着くのが、かわいそうでもありまた怖くもあります。ミサも初めはただのお色気お姉さんのように描写されていますが、徐々に玲於奈を騙すことに呵責を覚え、また玲於奈から正式に付き合ってほしい旨を言われても、年の差で玲於奈を不幸にすることを心配して彼の前から姿を消す思いやりも見せています。彼らの間には永遠に20年という時間差が存在しますが、二人が出す結論は・・・。

全6巻と短いですが、終わり方も非常に綺麗ですので、お勧めです。もう僕たちのあいだにあるのは年齢差だけじゃないでしょう?」という言葉が、本当に感動的です。

 

出典:あいだにはたち 4巻

さおとめ先生の漫画はどれも非常にテーマ性に富んでいて、ストーリーも秀逸で絵もきれいなので大好きです。