高校事変<松岡圭祐>

<あらすじ>

優莉結衣(ゆうり・ゆい)は、平成最大のテロ事件を起こし死刑となった男の娘。事件当時、彼女は9歳で犯罪集団と関わりがあった証拠はない。今は武蔵小杉高校の2年生。この学校に支持率向上を狙った総理大臣が訪問することになった。総理がSPとともに校舎を訪れ生徒や教員らとの懇親が始まるが、突如武装勢力が侵入。総理が人質にとられそうになる。別の教室で自習を申し渡されていた結衣は、逃げ惑う総理ら一行と遭遇。次々と襲ってくる武装勢力を化学や銃器のたぐいまれなる知識や機転で次々と撃退していく。一方、高校を占拠した武装勢力は具体的な要求を伝えてこない。真の要求は? そして事件の裏に潜む驚愕の真実とは? 人質になった生徒たちと共に、あなたは日本のすべてを知る!

 

<評価>★★★★☆

松岡圭祐さんは様々な本を書いておられ、速筆でも知られています。最近のQシリーズやαシリーズなど、色々な豆知識を増やしながらカジュアルに楽しめるシリーズが多い印象でしたが、この高校事変シリーズはその中ではかなり異色かもしれません。

なんせ人が死ぬ死ぬ、また主人公も殺しまくります。松岡ヒロインの中で最も危険なヒロインとも呼ばれている結衣ですが、死刑執行された半グレ集団のリーダー優莉匡太の娘という過去を持ち、様々な非合法手段に精通し、拳銃や刃物、爆発物の扱いも熟知しているというスーパーヒロインです。主人公が殺すのは半グレやヤクザなどの悪人なので、ちょっと必殺仕事人のような印象もあるかもしれません。

巻を進めるごとに相手がかなり大きくなってきて、軍人やマフィアなども相手にすることになりますが、毎回のピンチを知識を技術で巧みに切り抜ける結衣の活躍は必見です。こんな女子高生がいると相当怖いですが・・・。

12巻で大きな区切りがあり、主人公は結衣から結衣の妹瑠那に変わりますが、こちらも優莉家の子供なだけあって相当な強さです。伏線もかなり多く、他シリーズから意外な人物が登場したりと松岡ワールドの集大成といっても良いかと思います。

現在17巻まで刊行、以下続刊。

映画などメディアミックスも検討中らしいので、今後も目が離せない傑作です。

一巻は漫画化もされているので、こちらも読みやすいかもしれません。