聯愁殺<西澤 保彦>

<あらすじ>

晦日の夜。連続無差別殺人事件の唯一の生存者、梢絵を囲んで推理集団〈恋謎会〉の面々が集まった。四年前、彼女はなぜ襲われたのか。犯人は今どこにいるのか。ミステリ作家や元刑事などのメンバーが、さまざまな推理を繰り広げるが……。迷宮入りの連続殺人事件。大いなる謎に挑む、白熱の推理バトル!累計十万部突破!ロジックミステリの魔術師・西澤保彦の傑作!新たに「三十三年目のあとがき」を収録。

 

<評価>★★★★☆

題名は<れんしゅうさつ>と読みます。主人公一礼比梢絵(いちろい こずえ)は謎の男に殺されかけ、その後その男が他の連続殺人にも関与していることを知り、なぜ自分が襲われたのかをずっと解明しようとしていますが、謎が解けることはなく、ついに恋謎会(れんめいかい)と呼ばれる、推理集団に相談し、梢絵の事件を様々な角度から分析してもらい、真相を解明してもらおうとします。

この小説の構成は約90%が恋謎会のメンバーそれぞれが色々な真相の可能性をひたすら検証していくという構成で、ずっと同じ部屋で同じメンバーが討論をしているという異色の構成をしています。また、登場人物の名前が結構癖があり(矢集<やつめ>、双侶<なるとも>、とか)、覚えにくいこともあり、少しとっつきにくい面もありますが、最後の真相がわかる章に関しては驚きの連続でした。

考えるとその可能性は全く思いもよらないものではないのですが、ある巧妙なトリックのためその可能性に及ばないようにしているのは非常にうまいなと思いました。

物語の最後がかなり救いようがなく、新たな殺人を誓うシーンで終わっていることも結構印象的です。タガが外れてしまった人はもう戻れないんですね・・・。

西澤先生の本は他も色々読んだのですが、一番合うのはこちらでしたのでお勧めです。