傲慢と善良<辻村 深月>

<あらすじ>

婚約者・坂庭真実が姿を消した。その居場所を探すため、西澤架は、彼女の「過去」と向き合うことになる。「恋愛だけでなく生きていくうえでのあらゆる悩みに答えてくれる物語」と読者から圧倒的な支持を得た作品が遂に文庫化。

 

<評価>★★☆☆☆

一時期結構話題になっていたので読んでみたのですが・・・。個人的にはかなり微妙。結婚相談所で相手を見つけるときの妥協、打算、辛さなどは非常にわかるところなのですが、如何せん描写がかなり冗長で長い。主人公の架は、50人以上と会ったが、いずれもピンとくる人がおらず、中々結婚に踏み切れなかったのですが、ピンとくる、というのはすなわち自分が相手を自分と比較して何点か、という採点をして、それが合格点に満たないことを意味することに気付かされ、愕然とするのですが、

「それって当たり前じゃね??」

という感想しかありませんでした。結婚相談所ってそういうところでしょう・・・。あと、結婚相談所の女性といい感じになっても、だらだら次に進まず付き合っていたらそりゃ振られますよね・・・。

結局架は女友達の美奈子に、真実と結婚したいという気持ちを何%か聞かれて、「70%」と言ってしまい、それが美奈子から真実に伝わってしまい、真実は自分が70点しかない女なのだと考え、失踪することになるのですが、結婚に踏み切る要因は家庭の事情や自分の職場とかいろいろな要因があると思うので、結婚に踏み切る確率が70%は、その女性が70点であることとはイコールではない気がします(これは作中でも言及されていますが)。

あとこの美奈子という女友達は平気で真実に面と向かって悪口を言う、しかもそれを架にも吹き込むというかなり不愉快な描写がされる女性で、そもそもこんな女友達を周りにキープしている時点で、彼女に逃げられても仕方がないよという感想しかありませんでした。

あと、真実もいい子ちゃんに育てられすぎたのはわかるのですが、連絡先を全て絶って急に福島にボランティアに行くって脈絡なさすぎじゃないですかね・・・・

辻村さんの小説は色々有名ですが、かがみの孤城もネタが読めてしまって自分はどうものめりこめませんでした。自分とは相性がちょっと悪い作家さんのようです(あくまで個人の感想です)。