ザリガニの鳴くところ<ディーリア・オーエンズ>

 

<あらすじ>

ノースカロライナ州の湿地で男の死体が発見された。人々は「湿地の少女」に疑いの目を向ける。6歳で家族に見捨てられたときから、カイアはたったひとりで生きなければならなかった。読み書きを教えてくれた少年テイトに恋心を抱くが、彼は大学進学のため彼女を置いて去ってゆく。以来、村の人々に「湿地の少女」と呼ばれ蔑まれながらも、彼女は生き物が自然のままに生きる「ザリガニの鳴くところ」へと思いをはせて静かに暮らしていた。しかしあるとき、村の裕福な青年チェイスが彼女に近づく……みずみずしい自然に抱かれた少女の人生が不審死事件と交錯するとき、物語は予想を超える結末へ──

 

<評価>★★★★☆

映画にもなったディーリア・オーエンズの長編小説。作者は動物学者でもあり、幼いときから湿地に住み孤独に暮らし、のちに生物学者として大成する主人公カイアは作者のモデルではないかとも思わせる。

1960年台のアメリカの貧しい暮らしの中で、孤独に暮らす少女カイアの頑張りが非常に印象的。特にテイトはカイアにつらく当たる町の人々の中で唯一カイアに文字を教え、力になってくれるが、結局カイアを捨てて逃げるのは結構ひどい話。チェイスが殺された晩にアリバイがあるかどうかが最終的な裁判の争点になるが、オチとしてはあまりにも素直すぎて逆に予想できなかった。

どうも当日の晩の描写がはっきりしないと思ったが、やはりそういうことか・・・。同時期に話題になった「我ら闇より天を見る」はどうも面白くなかったが、こちらはのめりこんで読むことが出来た。映画化もされているようなので、そちらもいずれ見たいと思います。